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蜜蜂と遠雷原作小説あらすじネタバレ!コンクール本選優勝者は亜矢?

恩田陸の小説【蜜蜂と遠雷】が2019年10月4日に映画公開されます。

それに先立ち、小説【蜜蜂と遠雷】のあらすじとその結末をネタバレします!

この小説は、第6回芳ヶ江国際ピアノコンクールを舞台としたコンテスタント(コンクールに挑戦する人)たちの熱き戦いの物語です。

【この子はギフトだ】と伝説のピアニスト・ホフマン氏が送り込んだ無名の少年・風間塵の正体は?

そして亜矢、明石、マサル、塵の4人のうちコンクールの優勝者はいったい誰!?

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【蜜蜂と遠雷】原作小説からあらすじネタバレ!栄伝亜矢は再び表舞台に返り咲くのか?

栄伝亜矢は国内外のジュニアコンクールを制覇し、10代でCDデビューした天才少女でした。

しかもそのCDが伝統ある賞を取って話題になります。

亜矢はピアノを弾くことが何より好きで、飛んだり跳ねたり天真爛漫な演奏が特徴です。

コンサートはいつも母親と二人三脚で歩み、ピアニストとして順調な滑り出しを見せていました。

しかし、亜矢が13歳の時に突然母親が他界。

マネージャーの役割を果たしていた母親が亡くなったことで母のために演奏していた亜矢にはもうピアノを弾く理由がなくなってしまいました。

亜矢は、母親が亡くなって最初のコンサート中に、最後の曲を残してボイコットしてしまいます。

コンサートのドタキャンが響き、天才少女・亜矢の周りの取り巻きは一人、また一人と去っていきました。

これ以降亜矢はクラシック界から姿を消し、バンド活動の一環としてピアノを弾く生活になり下がります。

そんな彼女がコンクールに参加したのは、異例の措置で亜矢を音大に入学させてくれた学長に恩義があったから。

学長は亜矢の存在理由を他の学生に知らしめる必要があったため、コンクールに出場するように勧めたのです。

あまり乗り気ではないもののコンクール出場を拒めば学長の顔を潰すことになってしまうと考えた亜矢はコンクールに挑むことになりました。

2週間にわたるコンクールでかつての母がしてくれていたように亜矢に付き添ってくれていたのは、親友のでした。

奏は亜矢の指導教官・浜崎の次女でバイオリンを専攻している2つ上の先輩です。

奏は父親に頼まれ亜矢の世話を焼くものの、亜矢は絶対にピアノで成功する!と確信していたんです。

奏は亜矢に自分のコンサートドレスを貸し、コンクールの間はずっと亜矢のそばにいて励まし支え続けました。

はじめはコンクールに乗り気じゃなかった亜矢ですが、コンクールで他のコンテスタントの演奏を聞くたびに、それを消化し自分の演奏に結び付けていきました。

さらにコンクールでは亜矢の今後の音楽生活を変える運命の出会いが待っていました。

遠い記憶の彼方にいた昔一緒にピアノ教室に通っていた幼馴染のマサルとの再会。

宮沢賢治の小説を読み込み、課題曲【春と修羅】の理解を深め、印象的なカデンツァ(アドリブの演奏)を弾いた明石

そして型破りな演奏で亜矢にピアノを弾く楽しみや母のことを思い出させてくれたホフマン氏の弟子・の演奏にとりわけ影響を受けました。

亜矢はコンクールの予選を進むにつれて、塵のピアノが表現する宇宙に自分なりの答えを見つけるようになり、その演奏はまるで塵とピアノで会話しているかのよう。

塵が天変地異を連想させる激しいカデンツァを披露すれば、その後に演奏する亜矢は多くの命を包み込む母なる大地をカデンツァに込めました。

私が小説を読んでいて感じたのは、コンクールで一番演奏が変わったのは間違いなく亜矢

しかし、小説では亜矢の成績は2位でした。

亜矢はコンクールでピアノを弾く喜びをかみしめ、今後はまたピアニストとして高みを目指すことをラストシーンで奏に伝えます。

奏も以前から考えていたバイオリンからビオラへの転向を亜矢に打ち明け、これからも二人は音楽の世界で生きていくことを決めたのです。

【蜜蜂と遠雷】原作小説からあらすじネタバレ!高島明石の最後の挑戦の結末は?


高島明石は今回のコンクールで最年長のサラリーマンです。

学校の先生をしている妻・満智子と息子の明人がいます。

学生の頃に出場したコンクールで本選に残り5位に入賞したのが明石の最高成績でした。

その後音楽の道には進まず接客業に就いたものの、明石はプロの音楽家になる夢をあきらめていませんでした。

今回最後の挑戦としてこのコンクールを選んだ明石。

1年間にわたってピアノを弾き込み準備をして、このコンクールに臨んでいます。

明石は二次予選の課題曲で作曲家・菱沼忠明がこのコンクールのために作曲した新作品【春と修羅】の解釈に関しては誰にも負けない!という絶対的な自信がありました。

作曲家・菱沼が【春と修羅】で題材にしたのは宮沢賢治の世界。

明石は通勤時間などに宮沢賢治の詩や小説を読み直し、宮沢賢治の世界観、宇宙観を深く理解しようと努めました。

岩手にも足を延ばし、作品の舞台となった地にも訪れ、曲のイメージに文学作品のイメージをのせてカデンツァの部分を考えます。

明石がカデンツァにのせたメロディーは、宮沢賢治が衰弱していく妹を歌った【永訣の朝】の中の妹の言葉【あめゆじゅとてちてけんじゃ。あめゆじゅとてちてけんじゃ。】というものでした。

この言葉を右手のメロディに乗せ、左手で世界や宇宙に思いを馳せる宮沢賢治の日々を表現してみせました。

コンクールの二次予選で、明石は岩手の風景を思い浮かべ、自分もそこにいるような気持ちになりながら【春と修羅】を演奏します。

演奏が終わり万雷の拍手の中妻の満智子が泣いているのを見つけ、明石は自分の演奏ができたことを実感します。

しかし、明石は二次予選で早くも落選してしまいました( ゚Д゚)

これで音楽の道はあきらめようと思った明石ですが、三次予選、本選に進んだ他のコンテスタントの演奏を聞き考えが変わりました。

ピアノが楽しくて仕方ないといった演奏をする異端児の塵。

かつて天才ピアノ少女として君臨した亜矢の復活。

彼らを見て明石は若い子に負けずにもっと音楽の道を究めたいという野望が沸々と湧き上がってきました。

そしてコンクール最終日に明石に待っていたのは奨励賞と菱沼賞(日本人作曲家演奏賞)のW受賞でした!

奨励賞はこれからも頑張ってほしい若い才能に贈られる賞。

そして菱沼賞は【春と修羅】作曲家である菱沼が、一番この曲を理解して演奏したと感じたコンテスタントに贈られる賞です。

明石はコンクールの成績こそは二次予選敗退という結果に終わりましたが、菱沼賞を手にこれからも音楽家への挑戦を諦めないという決心に至りました。

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【蜜蜂と遠雷】原作小説からあらすじネタバレ!マサル・カルロスと亜矢の過去のつながりは?

マサル・カルロス・レヴィ・アナトールは母親が日系三世、父親がフランス人です。

父親の転勤で5歳から7歳まで横浜で過ごし、その後フランス、アメリカで過ごします。

ジュリアード(ニューヨークにある世界で最も優秀な音楽大学のひとつ)の隠し玉と呼ばれ、今回コンクールで審査員を務めているナサニエルに師事。

コンクールの優勝候補とされる人物です。

彫りが深くて異国情緒漂う顔立ちと、上品で優美なオーラを放っているため周りからはジュリアード王子と称されています。

実は、マサルは亜矢の幼馴染。

マサルが日本にいたころ、亜矢に誘われピアノ教室に一緒に通い、アーちゃん、マーくんと呼び合う仲だったのです。

マサルはその時初めてピアノに触れたのですが、耳の良さとたぐいまれなる才能を発揮し、亜矢と連弾をするまでに成長。

亜矢を教えている先生からその才能を見いだされ、日本を出たら必ずピアノを弾くように!と助言されていました。

そしてマサルは言われた通り、音楽大学に通う大学生の元でピアノを習い始めました。

マサルの才能にびっくりした大学生が自分の教授を紹介。

その教授の元でマサルはすぐに頭角を現し、2年もすると神童と呼ばれるまでにピアノが上手になっていました。

マサルはコンクールで亜矢に再会し、アーちゃんと呼び一緒に連弾を楽しんでいたピアノに触れたばかりの無邪気な子供の頃を思い出します。

コンクールでは亜矢と一緒になって他のコンテスタントの演奏を聞き、自分の演奏と向き合っていくうちに、マサルは亜矢に恋心をいだくようになりました。

しかし亜矢はマサルの気持ちには気づかずあくまでも幼馴染、同じコンテスタントとして一緒に音楽を共有する仲間という意識。

マサル自身も自分に好意を寄せている同じジュリアードのジェニファ・チャンには目もくれず。

その状況を亜矢の親友・奏だけは気づいていました。

マサルの演奏はなんといっても、王道で上品でありながら力強いパッセージと曲への理解が深いこと。

その容姿と奏でる音色に一瞬にしてコンクールの観客を巻き込み、予選のたびに大喝采を浴び、難なく本選出場へ。

ロマンティックで丁寧で情熱的なその演奏は、亜矢、明石、塵にも影響を与えました。

そしてこのコンクールでマサルは第一位に輝き、コンクールの副賞でもある世界中を回るコンサート旅行に旅立つのです。

【蜜蜂と遠雷】原作小説からあらすじネタバレ!風間塵は三次予選で失格?

今回、異例の新人としてコンクールに乗り込んできたのは風間塵という16歳の少年でした。

風間塵は亡くなったピアノの神様と呼ばれたホフマンの弟子で、ホフマン自身が推薦状を書きこのコンク―ルに送り込んできたんです。

そしてその推薦状が謎めいていました。

推薦状

皆さんに、カザマ・ジンをお贈りする。

文字通り、彼は『ギフト』である。

(中略)

中には彼を嫌悪し、憎悪し、拒絶する者もいるだろう。

(中略)

彼を本物の『ギフト』とするか、それとも『厄災』にしてしまうのかは、皆さん、いや、我々にかかっている。

【蜜蜂と遠雷】28ページより引用

 

そして予選会場にやってきた塵は、幼さを残した無垢な顔立ち、泥だらけの手、飾り気のない髪の毛、Tシャツにコットンパンツというラフな姿でした。

こんな子がホフマンの弟子?

しかし演奏を聞いた審査員たちは自分の目と耳を疑いました。

他の候補者と同じ楽譜、同じピアノを使っているというのに彼の演奏が全くの別物に聞こえたからです。

その演奏はまるでホフマンの教えを冒涜するような演奏だと審査員の一人・三枝子は憎悪や恐怖心を感じました。

しかし他の審査員はこんな逸材が眠っていたなんて!と驚愕します。

まさにホフマンが予言した通り、塵をギフトとするか厄災とするかは人それぞれの捉え方で、実際にコンクール審査員でも塵の審査は大きく点が割れました。

しかも塵はこれほどまでのピアノの腕を持ちながら、なんとピアノを持っていないと言うではありませんか!

実は塵は父親の養蜂の仕事を手伝っていて、季節が変わるごとに花を追って移動していたのです。

マサルがジュリアード王子ならば、塵は蜜蜂王子

移動生活のため塵はピアノは持っておらず、このコンクールで入賞したらピアノを買ってもらえるという条件で、塵はコンクールに挑んでいたのです。

これまで塵はどうやってピアノを練習していたかというと、ピアノが弾きたくなったらピアノの音が聞こえてくる学校や誰かの家に忍び込んでピアノを弾いていたんです( ゚Д゚)

コンクール前に忍び込んだ大学のピアノ練習室では、その音色に圧倒されて思わず練習室の扉を開けた亜矢と出会っていました。

塵がすごいのはピアノの腕だけではなくものすごく耳が良いということ。

コンクールではコンテスタントが登場する前に調律師が要望に応えてピアノを調律するのですが、陣が指定するピアノの音色のタッチは「柔らかく」という指示だけ。

それよりも塵はピアノの位置を微調整したり、床のひずみを耳で捉えて楽器の音がもっとよく響くようにとオーケストラの位置を移動させたり、音の反響の調節を指示するのです!

他のコンテスタントとは違う耳の良さに、調律師の浅野もコンクールが終わるころには塵に一目置くようになります。

予選でピアノを弾くたびに新しい一面を見せていく塵でしたが、三次予選で同じ曲を2度弾くという異例の演奏をしました。

コンクールの厳しい規定によって塵は失格になるかもしれない。

亜矢もマサルも、会場にいたファンたちも、なかなか審査の結果が出ない状況に塵の最悪の結果を思い浮かべていました。

あんなに素晴らしい演奏をしたのに、規定違反で失格になるかもしれない。

そんな落胆に包まれた会場でしたが、失格になったのは別のコンテスタント。

塵は無事に最終選考の本選に残り、オーケストラとの共演をしてみせたのでした。

塵の演奏を一言で言い表すならば、この子は音楽の神様に愛されている!

そして塵の演奏は、他のコンテスタントにも影響を与えました。

亜矢は塵の演奏を聞いて、彼の音楽に宇宙を感じたり、亡くなった母を感じたり、音楽の本質を考えるようになります。

そしてコンクールが進むにつれて自分の音色がどんどん変わっているのを感じていました。

マサルも塵の演奏に影響された一人です。

マサルはコンクールの本選中になぜ自分は弾いているのか?なぜ音楽はこんな風に進化したのか?と考えるようになり、作曲の道に進みたいという自分の気持ちに気づきました。

塵が素晴らしい演奏をすればするほど、それに共鳴してより素晴らしい演奏になる他のコンテスタントたち。

塵の存在が若い眠っていた才能をさらに開花させる起爆剤になったのでした。

そして気になるコンクールの結果塵は3位に入賞し、父親にピアノを買ってもらえると無邪気に喜んでいました。

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まとめ

恩田陸の小説【蜜蜂と遠雷】からあらすじやコンクールの結果をネタバレしました。

小説の読みどころはなんといっても音楽を文章で表現したという点ですね。

ピアノコンクールという題材ゆえ大半はピアノを弾いている場面です。

けれど出場者の背景にあるものを投影したそれぞれの特色ある音楽を、同じ曲目でも全く違う曲に感じさせる恩田陸の表現力はさすが直木賞作家!と思いました。

映画公開に合わせて【蜜蜂と遠雷】のスピンオフ作品【祝祭と予感】も2019年10月3日に出版されます。

ホフマンと幼い塵がどうやって出会ったのかなど4人の秘密が解き明かされる短編集です。

小説ファン、映画ファンにもたまらない一冊なのでこちらも要チェックですね(*^^)v

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つばき
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子供二人を持つ40代主婦です。 ゆるミニマリスト。 読書とハロプロをこよなく愛しています。