ゼロ・ウェイスト

映画【人生フルーツ】の感想!高齢夫婦の自給自足の丁寧な暮らしと幸せ

こんにちは、つばきです。

私には折に触れて何度も見返す大切な映画があります。

それが「人生フルーツ」というドキュメンタリー映画です。

愛知県の高蔵寺ニュータウンに住む高齢夫婦の丁寧な暮らしぶりに、どうやって生きていくのかを考えさせられます。

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映画「人生フルーツ」

映画「人生フルーツ」は東海テレビが制作したドキュメンタリー番組の劇場版です。

この番組は「平成28年度文化庁芸術祭 テレビ・ドキュメンタリー部門」で大賞を受賞しています

高齢夫婦の丁寧な暮らしぶり、スローライフが注目を集め、全国各地で今も上映が続いています。

映画の予告編や概要、上映映画館は「人生フルーツ」公式サイトでご覧いただけます。

映画「人生フルーツ」公式HP

私は東海テレビが毎年お正月になると放送するこの映画を録画し、忙しくて日々の暮らしが丁寧じゃなくなっていると感じた時、お金の亡者になりお金のことばかりを考えるようになった時、この映画を見返すようにしています。

「人生フルーツ」概要

愛知県春日井市の高蔵寺ニュータウンで、自宅の敷地に雑木林や畑を作り、毎日の暮らしを営んでいる津端修一さん、英子さんのドキュメンタリー映画です。

ナレーションは樹木希林さんが務めています。

津端修一さん90歳、英子さん87歳の老夫婦。

彼らは300坪の土地に自分の手で雑木林を作り、畑では野菜70種、果物50種を作っています。

自分の手でできることは自分でコツコツとやることをモットーに、手仕事を大切に暮らしています。

なんでもない老夫婦の暮らし。

しかしそこには私たちが忘れていた大切な何かがたくさん散りばめられているのです。

自然と共存する暮らし

修一さんは建築家でもあり、大学教授でもありました。

日本だけでなく台湾にも手掛けた団地があり、高度経済成長期にはたくさんのニュータウンの建設に関わってきました。

そんな修一さんが目指していた団地というのが、自然と共存する街。

里山や川の流れ、風の流れを感じられる街づくりをしたかったのですが、時代は高度経済成長期。

提案した初期のプランは通らず、広大な土地に同じようなコンクリート造の建物がたくさん立ち並ぶ団地になっていまいました。

開発のために山は削られ、谷は埋められました。

そんな建築に心を痛めていた修一さんは、自らが関わった高蔵寺ニュータウンに300坪の土地を買い、里山を取り戻すべく、自宅の敷地に木を植え、畑を作りました。

それだけでなく、はげ山となってしまった裏山に子供たちとどんぐりの苗木を植える運動もしました。

現在はその活動は他の人に任せ、自宅で自然と共存する生活を送っています。

四季折々の野菜や果物を収穫すると、妻の英子さんがおいしい料理を作ります。

自分たちで作った野菜や果物を使って作る食事はどれもおいしそうです。

また取材にきたスタッフや来客には手作りのデザートを作ってもてなし、知り合いにもたくさんの野菜や果物を宅急便で送ります。

自分たちが作った幸せをほかの人へもおすそ分け。

また、庭には小鳥たちが水浴びをするための水盤が置かれていたり、春にはこいのぼりを建てたり、月に1回餅つきをしたりと、季節とともに生きる生活を送っています。

食事が何よりも大事

英子さんが一番大切にしているのは食事。

自宅でとれた食材はもちろん、それ以外の食材も納得のいくものを自分の目で選んでいます

2か月に1回年金をもらったら、英子さんがいくところが名古屋栄のデパート。

そこで昔から懇意にしている八百屋や魚屋で国産の食材を買い求めます。

買った食材は宅急便で自宅に送ってもらい、届いたら冷凍保存。

毎日少しずつおいしくいただきます。

買い物から数日たつと、お店には修一さんが書いた絵葉書がとどきます。

コンビニの食事や外食はせず、自分で作ったものを食べる。

そして、人から買う。

信頼している人が買いつけてきた食材を信用して買う、ということをしているのです。

英子さんが作る料理はどれもおいしそうです。

3食だけでなく、ガトーショコラ、みたらし団子、桃のコンポート、特大プリンと、英子さんはお菓子作りも上手。

自宅の冷凍庫には手作りのジャムやスープの素、干した果物などたくさんの食材が入れられています。

なんでも自分でコツコツとやる

90歳と87歳のご夫婦なんてさぞかし大変だろうとお想いでしょうが、なんと修一さんは90歳になってもマウンテンバイクを颯爽と乗りこなしています。

英子さんも背筋がシャンと伸びていて、宅急便を送るのにも自分で荷台を押して歩いて向かいます。

もちろん先ほどの名古屋のデパートへも、徒歩5分、バス10分、電車30分をかけて向かいます。

修一さんはこういいます。

「自分でできることは自分でやって、なんでもコツコツやっていればそのうち見えてくるから。」

その言葉の通り、二人はなんでも自分たちでやってしまいます。

修一さんのベーコン作り(ベーコンの仕込みに3日、ベーコンを焼く窯も手作り)、英子さんの機織り、障子の張替え、家具の模様替え、畑に置く看板作り。

家にあるものも二人の手で作られたものが数多くあります。

例えばドールハウス。

これはお孫さんが「シルバニアファミリーのドールハウスをおじいちゃま作って!」とお願いし、お孫さんが書いた理想のドールハウスのイラストを元に忠実に再現して作られたものです。

他にも英子さんが頭をぶつけないように木に取りつけられた看板、ガスの消し忘れを防ぐための看板、郵便屋さんを気遣う看板など、修一さんが作るものは他者への愛に溢れています。

お金はないけど時をためる

素敵な考え方だなと思ったのが、お金を貯めずに時をためること

これはお二人の著書のタイトル「ききがたり ときをためる暮らし (文春文庫) [ つばた 英子 ]」にも使われています。

英子さんがいうには結婚した時からお金がなく、結婚式もあげなかったそうです。

当時月給4万円の時に修一さんが70万円のヨットを買い、保険を解約したり質屋に通ってお金を作っていたそう。

老舗の造り酒屋のお嬢さんだった英子さんは、外で食べ物を食べたことがなかったり、見の周りのお世話はすべてねえやがやってくれたりしていたため、結婚生活は当初大変なものだったでしょう。

英子さんが使っているものも年季が入っています。

せいろ、南部鉄器、40年物の土鍋、温度設定のおかしいオーブンもまだまだ現役。

お友達に宅急便を送るためにダンボールを運ぶ荷台は、孫のベビーカーを改良したものです。

本の中で英子さんも語っていますが、食器は長く使えるものを少しずつ買いそろえていったそうです。

お金がなくてもコツコツとゆっくり少しずつ揃えていく。

上質なものを買って長く使う。

これこそが時を貯める暮らしなのです。

二人は繰り返し次の言葉を言います。

「私たちはお金は残せないけど、肥えた土を作れば野菜は誰でも作れるから。

娘や孫の世代の時にいい土になるように、頑張っている。」

映画ではナレーションの樹木希林さんの声で何度も繰り返されるフレーズがあります。

風が吹けば、枯れ葉が落ちる。

枯れ葉が落ちれば、土が肥える。

土が肥えれば、果実が実る。

こつこつ、ゆっくり。

人生フルーツ。

 

夫と妻の素敵な距離感

私が心惹かれたのは、夫と妻の素敵な距離感です。

仲良しだからっていつも一緒に活動しているわけではなく、それぞれが好きなことをして過ごしています。

修一さんは友達に手紙を書き、郵便局に行く。

自宅のコックピットで資料を整理したり仕事をする。

英子さんは、料理をしたり機織りをする。

朝食も修一さんはご飯派、英子さんはパン派で、どちらかが合わせるということはせず、好きなモノを食べています。

各々が自分の手仕事をして一人の時間を作っていることが、夫婦がうまくいく秘訣なのではないでしょうか?

また、英子さんは修一さんを呼ぶ時、「おとうさん」といい、それでも聞こえてないときは「しゅうたん」と呼びます。

あだ名でかわいらしく呼んでいて、とても微笑ましいです。

二人の間で交わされる会話も、とにかく丁寧です。

「ゆっくりやればできるからね。」

「気を付けていってきてくださいね。」

相手を思いやりながら、丁寧な言葉遣いで話されています。

これには猛省しました、私。

私も上から目線じゃんなくて、丁寧な言葉で夫に話しかけようと思います。

二人で出かけるときは、いつも英子さんは修一さんの後ろに続いて。

そんな英子さんのことを台湾で行われた出版イベントの際(二人の本は台湾でも人気です)、「彼女は僕の最高のガールフレンド」と笑顔で答えていました。

そんなこと言われたら、本当にうれしいですよね。

 

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おうちは宝石箱

修一さんも英子さんも毎日の暮らしが何より大切だと考えています。

だからこそ、おうちは宝石箱じゃないといけないと

 

私は家族にとって宝石箱のような家を作れているでしょうか?

ごみや紙くずばかり入っている汚い箱を作っていないでしょうか?

家族が家に帰ってきたらほっとできる、安らげる家を作っているでしょうか?

 

津端さんの家は修一さんが尊敬する建築家アントニー・レーモンド氏の自宅を倣って作られました。

平屋30畳のワンルームです。

そこで様々な彩りのある暮らしを営んでいます。

津端さんの家にあるものは、ほとんどが自然素材で作られたものです。

映画の画面からぬくもりやあたたかみが感じられます。

対して、私の家あるものは、プラスチックで作られたもの、100円ショップなどの大量生産されたもの、いらないのに「いつか使うかも」と思い取ってあるものなどが溢れています。

家族はみんな「自分が」「自分が」を主張し、思いやりに欠け、夫婦喧嘩や親子喧嘩が繰り広げられています。

私の家は、現時点では宝箱とは程遠いです。

 

この映画を見ると、生きていることの喜び、大切な人と暮らせる幸せを感じずにはいられません。

自然に対しても、モノに対しても、人に対しても優しくなれるんです。

私はもう何度もこの映画を見ていますが、毎回泣いてしまいます。

「生きる」ってこういうことだよなと毎回痛感させられるからです。

 

最後に、お二人の素敵な言葉を贈ります。

おうちはいいなあという安心が、毎日の暮らしの中にしっかり根付いているのがなによりだと思うのです。

次の世代が豊かになるようにしっかりとつないでください。

お金よりも人です。

 

お近くで映画上映が行われていない場合、この映画と同じ内容をお二人の本から学ぶことができます。

現在5冊発行されています。

「あしたも、こはるびより。」

「ときをためる暮らし」

「ひでこさんのたからもの」

「ふたりからひとり~ときをためる暮らし それから~」

「きのうきょうあした」

この順番で読むと、二人の暮らしを順を追って読むことができます。

ミニマリスト、ゴミを出さないゼロ・ウェイストな暮らしを目指しています(^^♪
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ABOUT ME
つばき
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子供二人を持つ40代主婦です。 ゆるミニマリスト。 読書とハロプロをこよなく愛しています。